研究助成からシステミックチェンジへ ― 企業財団の未来





このセッションで語られたこと
企業財団の研究助成は、資金提供を超えて研究環境の変化を支えられるかが論じられた。成果を問わず基礎研究に資金を渡す支援や、若手支援から外れやすい層に向けて応募年齢を46歳以上65歳未満とした制度が紹介された。分野を越えた研究者の交流と、仮説を立てる前の探索を支える少額助成も取り上げられた。現場への信頼を前提に使途の自由度を高め、長期支援と書類負担の軽減を組み合わせる資金の渡し方が語られた。
セッションの概要
研究者の支援は果たして研究助成金だけなのか。本セッションでは、サントリー生命科学財団と共に積み上げてきた研究会の議論の成果をもとに、研究者のためになる研究環境支援について、構造変革の観点から検討します。研究者だけでなく、研究の世界をより良くしたい多くの人にとって、共に考えるための議論の場を設けます。
登壇者

内田 雅昭Masaaki Uchida
公益財団法人サントリー生命科学財団 事務局特任部長
京都大学大学院工学研究科修士課程を修了し、サントリー株式会社へ入社。工学博士。新商品開発、ビール醸造科学や嗜好科学に関する基盤研究・技術開発、ビール工場・食品工場の製造マネジメントなどにも従事した。2019年から公益財団法人サントリー生命科学財団にて勤務し、現在はサントリーSunRiSE生命科学研究者支援プログラムを通して、日本の基礎研究を活性化するための活動を推進している。

北 真理子Mariko Kita
一般社団法人 Stellar Science Foundation 共同創業者 / 業務執行理事
研究者を支える仕組みづくりに取り組む。慶應義塾大学経済学部を卒業後、三菱商事に10年間勤め、ブラジル駐在を経験した。シンガポール国立大学で経営学修士を取得し、ボストン コンサルティング グループのシンガポール拠点に勤務したのち、2021年12月に一般社団法人 Stellar Science Foundation を共同で設立。研究助成と次世代の研究者育成を軸に、企業や個人からの資金を研究の現場へ届ける仕組みを組み立てている。研究者の家庭に育ち、幼少期を日米の研究室で過ごした経験が、支援する側に回る動機になっている。

藤田 淑子Toshiko Fujita
フィランソロピー・アドバイザーズ株式会社 代表取締役 / シニア・フィランソロピー・アドバイザー
フィランソロピー・アドバイザー。シティグループ、UBS、クレディ・スイスのプライベートバンキング/ウェルスマネジメント部門で、個人富裕層の資産運用・管理と商品開発に20年以上携わった。その後、山口県で地域活性化の支援、障害者就労支援施設(就労継続支援B型)のマーケティング支援、子ども食堂・居場所の運営に関わり、NPO法人の設立と認定取得を経験する。一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)では、新しいフィランソロピー事業の立ち上げ、社会起業家支援、インパクト測定・マネジメント、財団マネジメントに従事した。

久保田 しおんShion Kubota
国立大学法人東北大学 ZERO INSTITUTE 客員准教授
1997年生まれ。マウント・ホリヨーク大学で物理学と哲学の学士号を取得し、ハーバード大学大学院で物理学の博士号を取得した。素粒子物理学者として米国ローレンス・バークレー国立研究所のフェローを務め、次世代ニュートリノ実験DUNEに向けた検出器開発とデータ解析に従事する。マイナス180度に近い極低温で動く電子回路や、新たな電荷読み取り技術の開発に取り組む。東北大学ZERO INSTITUTEの客員准教授を務めるほか、日本科学未来財団の理事として、講演や執筆を通じた科学コミュニケーションにも力を注ぐ。2024年にMIT Technology Review「Innovators Under 35 Japan」、2025年にForbes Asia「30 Under 30」へ選出された。

青木 健太Kenta Aoki
一般社団法人トラスト・ベースド・フィランソロピー・ジャパン 共同代表理事
2002年、東京大学在学中に友人3人で、子どもの人身売買の撲滅に取り組むNPO法人かものはしプロジェクトを創業した。2009年にカンボジアへ移住し、ソーシャルビジネスと教育事業に取り組む。2018年、かものはしのカンボジア撤退にともない、現地の公教育改革と教師育成を担うSALASUSUを設立。2022年からかものはしプロジェクトの理事長も兼務する。2025年にトラスト・ベースド・フィランソロピー・ジャパンを創業し、2026年4月の共同代表制への移行にともない共同代表理事に就任した。資金の出し手と受け手の関係を問い直し、信頼に根ざした資金提供を日本に広げることに取り組む。

西村勇哉Yuya Nishimura
モデレーター株式会社esse-sense 代表取締役
1981年大阪府池田市生まれ。大阪大学大学院で人間科学の修士号を取得後、人材開発ベンチャー企業、公益財団法人日本生産性本部を経て、2011年にNPO法人ミラツクを設立した。領域や職種を越えたイノベーション基盤の構築、企業の事業創出、研究開発プロジェクト、未来構想や未来潮流の探索を支援。2021年に株式会社エッセンスを設立し、研究知と社会をつなぐesse-senseを運営している。
収録映像で見る
このセッションの収録映像(字幕・要約つき)は、アーカイブ配信でご覧いただけます。全33本一括・視聴期限なし。