インフォーマルなコミュニケーションが生む都市の創造性





このセッションで語られたこと
都市の利用者にとどまらず、住民自身が街を作る余地をどう残すかが論じられた。アフリカの市街地で、行政の関与や法的登記がなくても住民が道路整備や土地の管理を担う事例が紹介された。日本の商店街や交流の場では、会話を交わさず日常的に見かけるだけの緩やかな関係も、居場所の感覚につながるとされた。制度や設計で整えすぎると自発性を失うという懸念から、住民を信頼し、あえて作り込まない余白を残す姿勢が語られた。
セッションの概要
都市の暮らしをより豊かなものにするために、私たちはどのような創造ができるか。都市デザインの分野と学術の交差点から、暮らし自体をより良いものにするための方策について描きます。学術と産業の接続を拓くもう一つの視点として、暮らしと都市をコミュニケーションから紐解きます。
登壇者

小野 悠Haruka Ono
豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系 准教授
建築計画と都市計画を専門とする。ナイロビ、ダカール、キガリなどアフリカの都市やインド、日本各地で、都市化が急速に進む地域のインフォーマル市街地を対象に、空間的・社会的・経済的に豊かな環境がどう形づくられるかを研究している。屋外の公共空間における人の流動と滞留を観測する手法にも取り組み、2024年に住総研 研究・実践選奨を受賞した。

山崎 満広Mitsuhiro Yamazaki
Green Cities, Inc. 代表
1975年生まれ。1995年に渡米し、サザンミシシッピ大学で国際関係学と地域経済開発を専攻して学士号と修士号を取得した。ユカタン大学への留学ではスペイン語と人類考古学を学んでいる。米国の建設会社・コンサルティング会社・経済開発機関を経て、2012年からの6年間、ポートランド市開発局でビジネス・産業開発マネージャー、国際事業開発オフィサーを務めた。2017年6月にポートランドで独立し、現在の Green Cities, Inc. を設立。著書『ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる』『ポートランド・メイカーズ』を通じて、コンパクトな街づくりと持続可能な都市経営の実践を日本各地へ伝えている。

飯田 美樹Miki Iida
カフェ文化・パブリックライフ研究家
早稲田大学商学部を卒業し、交換留学でパリ政治学院に学んだ。パリのカフェが社会を変える動きの起点になってきたことに着目し、2008年に『カフェから時代は創られる』を著した。郊外のニュータウンでの子育ての経験から、人と人がゆるやかに交わる場の欠如こそが息苦しさの正体だと捉え、十年以上をかけて世界の街を調査。2024年にその成果を『インフォーマル・パブリック・ライフ ― 人が惹かれる街のルール』(ミラツク発行・英治出版発売)として刊行した。

黒田 哲二Tetsuji Kuroda
THE COH株式会社 代表取締役CEO
1977年生まれ。東京大学工学部建築学科を卒業後、隈研吾建築都市設計事務所を経て、株式会社都市デザインシステム(現:UDS株式会社)に入社し、ホテルの企画開発に従事。その後、森ビル株式会社にてグランドデザイン、「虎ノ門ヒルズ」の開発業務や、遊休資産を活用したエリア活性化を牽引。2015年にUDSへ復帰し、MUJI HOTELや由縁などの国内外のプロジェクトを統括後、2020年4月に同社代表取締役社長に就任。2025年4月よりNOT A HOTELに参画し、NOT A HOTEL CONSULTING株式会社の代表取締役CEOを務める。2026年5月、「自分がほしい、終の住処をつくる」というビジョンを掲げ、THE COH株式会社を設立。

隅屋 輝佳Teruyoshi Sumiya
モデレーター一般社団法人Pnika デザインリサーチャー
東京都東村山出身。青年海外協力隊、NPO法人でのオープンイノベーション推進業務などに従事。慶應大学SDMにて、マルチステークホルダーによるルールメイキングについて研究し修士号取得。その後、自身の団体や世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターにて、ひらかれた自律分散的なガバナンスのあり方として、アジャイルガバナンスを推進する。人類学者エスコバルの多元世界の概念と巡りあってから、ケアやマルチスピーシーズをキーワードに、自然との新たな関わり方、多元的なガバナンスのあり方を模索する。

坂倉 杏介Kyosuke Sakakura
東京都市大学 都市生活学部 教授
1972年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。凸版印刷を経て慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了、博士(政策・メディア)。2023年より東京都市大学 都市生活学部 教授。専門はコミュニティマネジメント。多様な主体が関わりあいながらつながりと活動を生み出す「協働のプラットフォーム」という視点から、コミュニティ形成とワークショップの体験デザインを研究する。港区「芝の家」「ご近所イノベーション学校」の運営に携わるほか、三田の家LLP代表。
収録映像で見る
このセッションの収録映像(字幕・要約つき)は、アーカイブ配信でご覧いただけます。全33本一括・視聴期限なし。